音の聞こえについて
耳は外側から、外耳、中耳、内耳に分けることができ、中耳の空洞には空気が入っています。中耳内の空気圧が外耳側の空気圧と異なっている場合、音の聞こえが悪くなります。中耳の空気の量を調節する役割を持っているのが耳管(じかん)です。耳管は中耳から鼻の奥(鼻咽腔)へとつながっており、空気を中耳に送ったり返したりしています。
耳管開放症
耳管開放症とは、耳管が何らかの要因で広がってしまい、中耳に送る空気の量が調節できなくなる疾患です。耳管が広がった状態が続くため、中耳内の空気圧を安定した状態にたもつことができず、自分の声が響いて聴こえたり、耳の詰まった感じの聞こえになったりします。さらに、鼻咽腔には雑菌が多く存在するため、雑菌が耳管を通って中耳炎を引き起こすこともあります。
症状
・声が響いて聴こえる
・耳閉感(耳が詰まった感じ)
・自分の呼吸音が聞こえる
などの症状が見られ、自分の声が分からないということもあり、日常生活のコミュニケーションに影響を及ぼします。
原因
・ダイエットなどによる急激な体重減少
・体調不良
・睡眠不足などのストレス
が原因と言われています。日頃の生活習慣を整えることが一番の予防法です。
治療
耳管開放症の治療は、中耳内の空気圧を測定したり音の聞こえを検査することから始めます。中耳内の空気圧は、ティンパノメトリーと呼ばれる装置を使った検査を行います。検査はいずれも機械を耳に当てるだけの簡単な検査です。
症状の改善には、時間を肥大化させるために生理食塩水の点鼻を行ったり、漢方薬を服用していただきます。また鼓膜にテープを張って鼓膜の動きを制限することで、音の聞こえに改善がみられることもあります。
注意していただきたいこと
耳管開放症は音の聞こえ方に異常をきたす病気であり、コミュニケーションがとりづらくなったり、自分の声の聞こえ方が気持ち悪いという方もおりストレスを感じることの多い疾患です。そのため抑うつ症状を引き起こすなど、社会生活に良くない影響を及ぼす可能性があります。音の聞こえ方が変だなと異常を感じられた場合は、お早めに耳鼻科を受診するようにして、ご自身の生活を守るようにしましょう。